2009年3月から2010年3月までのサロン妊娠実績
■2009年度サロン治療周期数別妊娠率
(タイミング、人工授精、体外受精・顕微授精、全治療462名対象)

排卵を可能にする一連の周期的なホルモンを効率よく卵巣に届けるため低温期には卵巣周囲血管の新生が盛んになり、 排卵が近づくと血管内の血流量が増加します。さらに、前胞状卵胞の発育には、ホルモン以外の発育因子が確認されており、 その中の血管新生物質を含むいくつかの非ホルモンは周期的な刺激により活性化が高まることがわかっています。 ボーンスクイズは骨髄を刺激することにより、血管の新生に促進的に働き、 卵巣内レセプターの活性化を引きおこすことにより良好成熟卵子を産生します。 31歳以下の場合には、成熟卵胞形成に必要な刺激が3〜5周期の間に完成し、良好卵子が発育されることが考えられます。

人間は他の動物に比べ卵胞成熟期間が長いことが分かっています。この理由は黄体から分泌されるエストロゲンにより卵子発育に必要なFSHが抑制されることにあります。卵胞の発育には血液中のFSHに十分被爆される必要があります。黄体の消失後に次周期の卵胞発育に必要なFSH,LHを供給することが次周期の排卵を良好なものにします。このためには、FSHレベルのわずかな上昇が必要です。ボーンスクイズにより血流量が10%上昇するだけで、血中FSHレベルが卵胞成熟過程の開始に必要な量に達することが予想されます。32〜34歳のレンジは6周期以上になると急に妊娠例が増加しており、血管の新生を含むホルモン供給には6周期以上の刺激が必要と思われます。

妊よう性(妊娠する力)は31歳を機に低下すると言われていますが、32歳から37歳までの間に統計学的な有意差はありません。この臨床統計集では32〜34歳と35〜37歳とのデータに約10%の差が出ましたがこれは通院者数の違いによる誤差と考えられ本質的なものではないと思います。(通院者数は32〜34歳より35〜37歳の方が約2倍多い)この年齢層ではホルモン供給を正常化することにより排卵の改善、良好卵子の成熟がスムーズに進むことが予想されますので、上記の32〜34歳の方同様毎周期卵巣への血流上昇を行い、卵胞発育に必要なホルモン量の供給を続けてください。人の卵巣は卵胞成熟期間を長く要するため治療継続が大切です。

排卵を可能にする一連の周期的なホルモンを効率よく卵巣に届けてもホルモンを受け取る卵巣に必要な条件が整わないと良好な卵子は成育しません。卵子の発育には顆粒膜細胞が重要な役割を果たします。加齢により卵巣血流が低下すると卵子の細胞質の低下も起こります。この状態を改善するには、卵子内のたんぱく合成の改善が重要となります。ボーンスクイズにより血流が改善、増加すると局所的に産生される一酸化窒素を介して卵子の成熟が進むと思われます。しかし、その反応には6周期以上必要であり、さらに同時に起きる卵子の老化を100%食い止めることは出来ません。

卵子の老化現象が顕著に始まるこの時期は、細胞質だけではなく染色体の転座や不分離などが高い確率でおきます。ホルモン動態を改善してもこのような形質の状態を改善することは不可能で排卵率、妊娠率の低下を食い止めることは出来ません。今回のデータで6周期以上連続周期実施の場合の妊娠率が非常に高い理由は不明です。たまたま妊娠力の高い方が集まったためと思われます。

排卵には、排卵しうる成熟卵胞の存在が必須です。44歳以上の場合には、卵巣の収縮や卵巣内脂肪層(コレステロール)の減少により卵子の枯渇化が起きていることが十分に予想され、良好卵子が発育する可能性は数%ありますが、妊娠まで達成できるレベルであることは非常に難しいです。
■回数別(周期別)累積妊娠表
複合治療の方が多くタイミング療法だけという方の統計処理は出来ませんでした。
■治療者年齢分布図

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妊娠力の低下は認められるが検査などで明らかな異常がなく自然妊娠が期待できる場合には、タイミング療法を行います。タイミング療法は経済的、身体的負担を軽減できますが、治療が必要なときにタイミング療法を続け、適切な治療の遅れが生じないようにしなければなりません。不妊原因を考慮し原則6ヶ月、それ以外の場合には3〜4ヶ月が目安でしょう。
■通院クリニックの割合
多岐にわたっているため省略させていただきます。
■回数別(周期別)累積妊娠表
2009年度に人工授精で妊娠された方の最多回数は9回のため9回が累積の100%として表示されます。
皆様からよくご質問いただく、「何回目の人工授精までに妊娠される方が多いですか?」というご質問への回答が以下のデータとなります。
■治療者年齢分布図

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人工授精は、運動精子数(精子濃度×運動率)が自然妊娠するためには少ない場合に有効です。精子を直接子宮内まで注入することで運動精子が少なく自然の性行為では子宮内に入っていけない場合でもそれを可能にすることができます。しかし、妊娠しない原因が運動精子数だけによる場合、論理的には人工授精1回目で妊娠が成立し、多くとも4〜6回までで妊娠するはずです。しかし、現実として人工授精の妊娠率は低く、多くの方が4〜6回では妊娠しません。その理由として、原因が卵管に起因している場合が多いためと考えられています。卵管は疎通以外の検査ができないため、卵子のピックアップ障害や精子の通過障害など調べることができない原因がたくさんあります。そのような場合は体外受精へのステップアップが有効的です。
■通院クリニックの割合
| 病院名 | 割合 |
|---|---|
| はらメディカルクリニック | 36.9% |
| 杉並区不妊治療専門クリニック2 | 9.0% |
| 江東区産婦人科クリニック | 4.5% |
| 信濃町大学病院 | 4.5% |
| 渋谷区不妊治療専門クリニック1 | 4.5% |
| 渋谷区不妊治療専門クリニック2 | 4.5% |
| 世田谷区不妊治療専門クリニック | 4.5% |
| 千代田区婦人科クリニック | 4.5% |
| 目黒区婦人科クリニック | 4.5% |
| 横浜市不妊治療専門クリニック1 | 4.5% |
| 横浜市不妊治療専門クリニック2 | 4.5% |
| 他 | 13.6% |
■回数別(周期別)累積妊娠表
2009年度に体外受精・顕微授精で妊娠された方の胚移植最多回数は14回のため14回が累積の100%として表示されます。皆様からよくご質問いただく、「何回目の胚移植までに妊娠される方が多いですか?」というご質問への回答が以下のデータとなります。
■妊娠された方の治療選択
1.排卵誘発方法
不明数多く統計処理不可。
2.移植胚レベル
| 移植胚レベル | % |
|---|---|
| 4分割以下の初期胚での妊娠成立 | 4.2% |
| 5〜8分割の初期胚での妊娠成立 | 13.0% |
| 9分割〜桑実胚での妊娠成立 | 0.7% |
| 胚盤胞での妊娠成立 | 82.1% |
3.移植胚の新鮮胚と凍結胚の割合

■治療者年齢分布図
体外受精・顕微授精された方の平均年齢 38.4歳

■通院クリニックの割合
| 病院名 | 割合 |
|---|---|
| はらメディカルクリニック | 30.2% |
| 新宿区不妊治療専門クリニック | 25.3% |
| 港区不妊治療専門クリニック | 20.5% |
| 杉並区不妊治療専門クリニック1 | 5.1% |
| 横浜市不妊治療専門クリニック1 | 3.1% |
| 渋谷区不妊治療専門クリニック1 | 2.6% |
| 江東区不妊治療専門クリニック | 2.1% |
| 横浜市不妊治療専門クリニック2 | 2.1% |
| 大田区大学病院 | 1.6% |
| 渋谷区不妊治療専門クリニック2 | 1.4% |
| 大田区不妊治療専門クリニック2 | 1.2% |
| 港区総合病院 | 0.8% |
| 世田谷区不妊治療専門クリニック | 0.8% |
| 新宿区不妊治療専門クリニック2 | 0.8% |
| 横浜市不妊治療専門クリニック3 | 0.6% |
| 杉並区不妊治療専門クリニック2 | 0.3% |
| 墨田区不妊治療専門クリニック | 0.3% |
| 北区病院 | 0.2% |
| 信濃町大学病院 | 0.2% |
| 愛知県不妊治療専門クリニック | 0.2% |
| 静岡県婦人科クリニック1 | 0.2% |
| 他 | 0.4% |
4.移植方法
| 移植方法 | % | |
|---|---|---|
| 自然周期 | 30.6% | |
| 低刺激 | [経口薬]セキソビット、クロミフェン、フェマーラ、アリミデックス など | 41.2% |
| [注射]ゴナピュール、フォリルモンP、フェリング、フォリスチム、ゴナール など | ||
| ホルモン補充 | [経口薬]エストリール、ジュリナ、プラノバール、ソフィア など | 28.2% |
| (調整) | [貼薬]エストラーナ など | |
| [坐 薬]プロゲステロン坐薬 など | ||
| [注射]EPデポ、ルテウム など |
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体外受精は体外での受精方法により卵管因子など多くの不妊原因が取り除けるため、卵子と精子の質が結果を左右します。重度男性不妊の場合(TESE−ICSIなど)を除くと、多くの場合妊娠は卵子によって決まることが多く、それは年齢による問題が最大です。しかし、年齢を取り戻すことはできませんし、今大事なことはベストな方法を選択していくことです。
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血流量の10%上昇を卵巣で恒常的に保てるようにし、卵胞が発育に不可欠な血液中のFSHに十分被爆される状態を維持しましょう。黄体の消失後に次周期の卵胞発育に必要なFSH,LHを供給することが次周期の排卵を良好なものにします。
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1.空胞を繰り返している方
排卵誘発は適切ですか? 卵胞の成長にはFSHが必要です。これを加えるのが排卵誘発であり、その加える量や方法によって排卵誘発の方法が異なります。必要量は個人の卵巣レベルに応じて異なるため、事前の検査をもとに決定されます。同じ方法で空胞を繰り返している方は違った方法も試してみましょう。FSHよりLHが高い方はLHを抑制しながら卵胞発育を促せる方法が必要です。また、せっかく適切な誘発方法であっても採卵前のLHサージが不十分な場合卵子が顆粒膜細胞から離れず空胞になります。採卵前のLHサージの方法も見直してみましょう。
■具体例
・排卵誘発方法には、完全自然周期法、クロミフェン法、hMG/rFSH法、クロミフェン+hMG/rFSH法、GnRHアゴニスト法、GnRHアンタゴニスト法があり、さらに、注射器ではなくより自然に近いリズムで薬剤を注入するシリンジポンプ法、スプリット法、成長ホルモンを加えるGH法などあります。
・LHサージを起こす方法には、点鼻薬のスプレキュアやナサニールを用いる方法と、hCG注射を用いる方法があります。点鼻薬の場合吸引量が不安定なことと、反応までに個人差がありますのでこの方法で空胞が続く場合hCGを検討しましょう。
2.良好胚を移植しているが妊娠反応がでない方
SEET法をとりいれてみましょう。着床不全の原因のひとつに受精卵の子宮内膜との反応不全があります。最近の研究では着床準備のためには、受精卵からシグナル(胚因子)が必要であり、それと同調し子宮内膜は着床環境と整える(implantation windowを開く)と考えられています。胚盤胞移植単独ではそのシグナルを送るタイミングがないために着床不全の原因の1つになると言えます。そこで、SEET法を実施しこの反応不全を取り除きます。SEET法には自身の胚を胚盤胞まで培養した培養液を使用する方法と一般培養液を使用する方法の2種類あります。
3.胚盤胞達成率が低い方
これも、上記?同様、排卵誘発方法の見直しが必要です。ORT(卵巣予備能力検査)bFSHとbLH比率、AMH、卵巣容積を総合的に診断し、適切な方法を選択しましょう。



