全身の血の流れをスムーズにし、骨盤内への血流を増加
黄体機能不全とは黄体ホルモンの分泌が不十分になり、黄体期(排卵後の高温相の時期)が短くなるなどの状態が起こる事です。黄体ホルモンは受精卵の着床を助け、妊娠を維持します。その為、黄体機能の低下は不妊症や流産の原因となります。
この黄体機能不全に対して、鍼治療は有効な治療だと言われています。その目的の一つは黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を促す作用が認められています。黄体は卵胞が排卵した後に変化してできたものであり、しっかりとした黄体を作るためには卵胞がしっかりと成長することが大切です。良い卵胞を作る為には脳から血流に乗って送られてくるホルモン(FSH)を子宮・卵巣にしっかり届かせること、血行が重要となります。
私がサロン治療を通してで患者さまの体に触れ、感じることは「冷え症」をもつ患者さまが大変多いということです。冷えの症状は血行不足が原因である場合が大半です。血流の低下が起こると、子宮・卵巣への血流も減少してしまい、着床に必要な子宮内膜の成長を阻害してしまいます。こういう場合、鍼治療では「腎気」を補い、「瘀血」を取り除く必要があります。具体的には、腎経の主要な穴、血に関係する穴への刺鍼を行います。(湧泉・太谿・照海・三陰交・陰陵泉・血海・腎兪・肝兪・脾兪など)
さらに、局所的に骨盤周辺(気海・関元・中極・胞肓・八髎穴)への刺鍼を施すことにより、全身の血の流れをスムーズにし、骨盤内への血流を増加させる効果があります。その結果、適切な時期に卵巣に充分な血流とホルモンが届き、ホルモンバランスが整ってくると証明されています。
黄体機能不全が必ずしも冷え症を引き起こすわけではありませんが、冷え症は改善が必要な症状の一つであることには変わりはありません。鍼治療は冷え症に対して、薬を用いない有効な治療法の1つです。
※「腎」は生殖・成長発育を主るため、腎の機能が低下すると、生殖機能が低下し不妊症になるとも言われている。※「瘀血」は血液の運行が滞り、血液が臓腑や経絡に停滞すると生じる。
<参考文献> 東洋医学概論、東洋医学臨床論

